縁日の金魚

金魚すくいの金魚は、長くは生きられない。
ポイですくった喜びも、仰向けに浮かぶ姿で終わる。
まるで風鈴が鳴り終わる時季に合わせるように、小さな命が閉じる。
その生涯に金魚は何を見ていたのだろう。
うたかたの喜びはあったのだろうか。
それとも自らの運命を、初めから諦めていたのだろうか。
縁日に並ぶために育てられ、夜の明かりに照らされて夜店に並ぶ。
ポイで追われて捕まった先は、果たして天国だったのか地獄だったのか。
捕まらなければ、まだ長く生きられたのか。
それとも同じく短い生涯を終えたのか。
せめて夏の間は精一杯に生きてほしい。
